【考察】web業界への就職 その5:企業が人を採用する際のポイント
web業界への就職シリーズ、最終回です。
企業が人を採用する際にのような視点で合否を決めているか、というお話。
最初に、ここはしっかり分けて欲しいです。
- 企業が人を雇用する場合(正社員・アルバイト)
- 企業が人に仕事を依頼する場合(業務委託・外注/フリーランス)
この2つ、全く違いますので、それぞれを分けて紹介しますね。
※上記には派遣という立場を書きませんでした。これは法律的な建前とかいろいろあるので、あえて書いていません。疑問ある人は直接質問受けます。
企業が人を雇用する場合(正社員・アルバイト)
正社員・アルバイト採用の場合、応募者、面接官(現場レベル)、雇用者(経営役員)、の3者のマッチングになります。小さな企業の場合は面接官と雇用者が同一の場合もありますね。
まず応募者視点
採用競争は能力の優劣で決まる。能力を示すためには作例(ポートフォリオ)のクオリティが最重要。って考えていませんか?
こういった情報、ネットにも学校の就職課にもあふれてますよね。
能力、作例、クオリティ、響きは良いですし説明しやすいですけど、雇用(正社員・アルバイト)の場合、これ間違ってます。
作例(ポートフォリオ)のクオリティは、ある程度は重要だけど、最重要ではないというか。
こういう記事を書いてる人は、現場で働いたことはあっても雇用者になったことないんじゃないかな。
第4回の記事にも書きましたけど
- ポートフォリオおよび掲載作品のクオリティが高いから合格にすることはない
- ポートフォリオおよび掲載作品のクオリティが低いから不合格にすることはある
です。
雇用(正社員・アルバイト)に関しては、ある程度で良いんです、作例のクオリティは。
じゃ合否の判定基準はどこなのか?
雇用側(面接官や役員)は何を見ているか、ご紹介しますね。
面接官視点(一次面接)
一次面接(書類選考含む)のポイントは「この人を採用した場合、現場業務の助けになるか?」
さすがに「アプリケーション使ったことありません、htmlってなんですか?」って人は不合格です。作品を完成したことが無い、という人も厳しい。
あとはその企業によりますが「綺麗な文字組みできるかな?」とか「わかりやすいコード書けるかな?」という感じで、それぞれのチェックポイントがあるでしょう。
このへんは第2回の記事で書いた、採用のタイミングにもよりますね。
この段階では各企業が設定した基準をクリアしていれば良いわけです。
条件をクリアした人たちの中で最上位の人が採用となるわけではない、一番になる必要は無いんです。
また、自社あるいは取引先の雰囲気にあう作風かどうかも見るでしょう。
たとえば取引先に幼稚園・保育園が多い会社なのに、応募者の作風がエログロ系だと、流石に…という感じ。
こうなると作例の「優劣」とはちょっと違いますよね。まさにマッチングって考え方です。
これも一番になる競争とは違いますよね。
現場視点の面接官をクリアしたら、次は役員面接です。
雇用者・役員視点(最終面接)
一次の現場面接をクリアしたら、最終決定の役員面接ですね。
はてさて、企業の役員(雇用者)は何を見ているのか。
これは意外と簡単です。
「この人を採用した場合、既存のスタッフあるいは既存の取引先と仲良くできるか、定着して長くがんばってくれるか?」
です。
言い方を変えると、能力じゃないです。人間性と相性です。
では、応募者側として、就職試験を合格するためにはどうすればいいのか?
- 一次面接、あるいはその前の書類選考で不合格になっちゃう場合は、もうちょっと勉強しましょう。作例のクオリティを高めるのは必要かもしれないです。逆に、作例(ポートフォリオ)が必要なのはここまで。
- 二次面接で落ちる場合、これはしかたないです、今の自分の性格や人間性をそのまま見せて、気に入ってくれるかどうかですから。
恋愛と似てるんじゃないかな、相手の好みを調べて自分をそこに当てはめようとしても、結局はうまくいかないって感じかなぁ。今の自分に合う企業を探すしかない、それがたまたま1社目で出会えるか、50社受けても見つからないか、それはわからないです。
こんな感じなので、就職先が決まらない場合に、なんでもかんでも作例(ポートフォリオ)のクオリティに問題を求めるのはよくないですよ、ということは伝えておきたいです。
脱線。
もし企業が人を雇用する際に、作例(ポートフォリオ)のクオリティのみで採用を決めたとしたら…
仕事がある時は問題ないんですけど、仕事が終わった後、忙しくない時期になったところで、たぶんその組織は崩壊するでしょうね。
さらに言うと、その企業って、新人の作品のクオリティに期待しないと事業が維持できないってこと?
黒い雰囲気をぷんぷん感じますねwww
脱線その2。
なぜ講師が見てきた学校はまともな就職指導ができないのか?
就職担当のスタッフが雇用者としての経験が無い、というのが大きいでしょう。
高校や大学の就職課のスタッフははたして一般企業に勤めたり、雇用者として人を採用したことがあるのか?って話です。
それとは別に、書類選考や一次面接はクリアできても最終面接で落ちるという人に対して「問題はあなたの人間性ですよ」って言えないじゃないですか。だから問題を作例のクオリティにすり替えちゃうんですよね。
企業が人に仕事を依頼する場合(派遣・業務委託・外注/フリーランス)
この場合は簡単。
雇用とは全く発想が違います。
なぜなら期間限定、この案件だけ仕上げてくれれば問題ない、という発想ですから。
案件が終わったら接点はもうなくなるわけで、人間性なんかどうでも良いです、とにかく作品のクオリティのみ。
そうなるとどんな仕事ができるのか、過去の作例を見せてください、って話になりますね。
作例(ポートフォリオ)のクオリティが一番高い、一番好みに合う人に外注するでしょう。
整理すると…
- 私を雇ってください→ 作例(ポートフォリオ)である程度絞って、決定は人間性
- 私に仕事ください→ 作例(ポートフォリオ)のクオリティのみ
ってことですね。
異論反論あると思いますが、筆者の経験から見た意見でした。