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【拡散希望】注意喚起 クラウドソーシングでひっかかりかけた話

今回ご報告するのは講師の個人の見解です。
判断が間違えているかもしれませんし、あくまで可能性を提示している部分もあります。
また、クラウドソーシング上では健全なビジネスを行っている方が大多数であると考えていますので、決して卑下するつもりはありません。
誤解なされませんようお願いします。

ことのてんまつ

当塾代表の講師が、有名クラウドソーシングのサイトに登録してみて、どんな案件なのかなーってやってみました。
今後、生徒さんと一緒にいろいろやっていくには経験が必要だと考えたのです。

まずはアカウントを作成。
プロフィールに挨拶文を書いて、技能に対しての習熟レベルを記せという項目があったので、まぁなんだかんだで15年以上はやってるから最高レベルの星5つにしちゃえ…などなど、気楽にポコポコと設定を完了しました。
作例、ポートフォリオも公開許可を得ている仕事例を登録し、いざスタート。
さっそくいろいろな案件に応募を繰り返しました。
即日の案件獲得は難しく、挨拶文を丁寧にしたり、いろいろ提案内容を書いたりを繰り返して1〜2週間。
応募を繰り返していく中で「コーダー募集」という案件がありました。
内容は「まずは技能テスト受けてください、クリアできた方には今後、いろいろな案件をお願いします。技能テスト自体には100円お支払いします。」というのがあったので、さっそく応募。うんうん唸りながら2日後くらいにテストデータを納品すると、しばらくして「技能テスト合格」という返答をいただき、無事に100円獲得しました。100円…。

それから数週間、このクライアントから以下のような依頼がありました。

「新規案件のご相談です。以下の案件のご対応可能でしょうか?」
===============
概要
ワードプレス制作
1Pのコーディング
https://xd.adobe.com/xxxx(←トップページのPC用カンプデザイン)

納期
●月●日(←連絡もらった日から5日後の日付)

報酬
5,000円
===============

おー、キタキタ。案件だ。
金額が安すぎるというのがかなり気になりましたが、とりあえず金額は差し置いて、実績作りに1件やってみようということで「できますよ」って答えました。

すでに「技能テスト」はやりましたが、実際の案件になると修正も入るわスピードも必要だわ、純粋な技術能力とは違うパワーが必要なのもわかります。ですから、最初の一件は慎重に、通常とは違う激安の金額で依頼するというのは理解できる話です。
ここはいっちょ、こちらの「仕事能力」を見せつけてやりましょう、と意気込んでおりました。

さてさて、「できますよ」と答えてから数日後、先のクライアントから連絡が来ました。
「先日の案件は別の人にお願いすることになってしまったので、以下の案件をお願いできますでしょうか?」
とのこと。
提示されたのは以下の内容。
===============
概要
ワードプレス制作
コーディング
https://xd.adobe.com/xxxx(←トップページのPC用カンプデザイン)

納期
●月●日(←連絡もらった日から9日後の日付)

報酬
5,000円
===============

なるほどね、こんな感じで次々と案件を割り振ってるのね。
とにかく1件実績つくらないと話にならんわな、という気持ちで、以下のように返答しました。
「技術内容としてはできそうですが、質問させてください。
・カンプデザインはPC用のものだけですが、レスポンシブ対応(スマホやタブレット)はどうされますか?
・仮サーバーでWordPressを立ち上げてオリジナルテーマを作成し、内容確認後に本サーバーに引っ越しするという流れをやれば良いのでしょうか?それともあくまで最終的にWordPressにすることを前提にhtmlとcssの部分をコーディングして、htmlデータを納品する、ということになりますか?」

これにたいして、クライアントからわりとすぐに返信が来ました。
「レスポンシブ対応お願いします!
・その流れでお願いします!
・作り方としては静的コーディング→WP化でお願いします!
また、Slackで業務のやり取りを行いますので登録の方宜しくお願い致します!

https://join.slack.com/xxxx

!マークを多用する、元気な方ですね。短文で要点だけ伝えてきて、なんか忙しそうな雰囲気。さて、ここまではクラウドソーシングサイトのスレッドでやりとりをしていたのですが、ここから先はやりとりを Slack に移してほしいようです。

クラウドソーシングサービスには、ほとんどの場合「システムを介さない直接のやりとりは禁ず」というルールがあります。
そりゃそうですよね、クラウドソーシングで知り合いになって、仕事とお金のやり取りは個別にやりますってことになったら、クラウドソーシングのサービスはビジネス的に成立しないですから。案件の手数料がクラウドソーシングサービスの運営費用ですからね。

クライアントからの誘いは、上記のクラウドソーシングサービスの規約には違反しています。
違反してるんですが、仕事の依頼という魅力に抗うのは相当難しいので、今回はあえてルールを犯して流れに乗ってみました。
生徒の皆さん、フリーランス駆け出しの皆さん、真似しないように。ダメ、絶対。

心の片隅に一抹の罪悪感を感じつつ、誘いに乗って、指定のSlackに参加。
Slackのグループには運営担当者が数名、デザイナーと思われる人、サーバー手配担当、その他なんの役割かわからない方が数名参加されていました。
クラウドソーシングサイトの名前はどこにも無く、案件の説明や参加メンバーの紹介、そもそも自己紹介なども全く無しです。
「運営者」を名乗るA氏から
「参加ありがとうございます!こちらがデータ、制作用のWordPressのサーバー情報はこれです!よろしくお願いします!」
と、デザインデータのダウンロード先とサーバー情報を提示されました。
運営者A氏の文言、!マークを多用する感じ、先のクラウドソーシングのスレッドでやりとりしていた人に違いない。若くて元気で勢いの良い、そしてせっかちな人みたいですね。
Slackのアイコン写真も、顔は見切れていましたけど20代くらいのイケメン風です。

指定のデータを一式ダウンロードしたところ、XDで作られたデータで、これはこれでデザイナーがちゃんと作ったのかなという内容。スマホのデザインも作ってありました。他ページも、リンクはつないでいませんでしたが準備してあります。正確に数えていませんでしたが、ぜんぶで30ページくらいだったかな。

今回の自分の役割はコーダー(あるいはフロントエンドエンジニア)として参加するんだなと理解していましたので、こちらとしてはデザインデータを受け取り、これを元にコードやプログラム作るのね、自分のスケジュールどうしようかな、作業は明日の朝から、まずは画像の書き出しだな…って流れになります。

通常の案件ならね…。

翌日。昨日データの受渡しをしてきた「運営者A」とは別の「運営者B」からメッセージが来ました。
「クラウドソーシングのサイトのほうで、受注ボタン押して手続きお願いします。」という内容。
この方とのやりとりは初めてっぽいですが、やはり自己紹介もなければ挨拶文もなし。
ちなみにこの「運営者B」、Slackのアイコンでは、顔は見切れていますが綺麗な雰囲気、20代くらいの女性。
勝手ながら「運営者A」が営業担当、「運営者B」が経理とか事務やってる人なのかなと、勝手に想像してしまいました。

確かに、ご指摘の通り。今回の案件の最初のきっかけはクラウドソーシングのサイト。
そこの案件依頼のところで「受注」のボタン押してなかったな、手続きしなきゃね、と。
そういえば説明とか全くなかったけど、Slack上に「統一契約書」とか「秘密保持契約書」とかの項目が準備されていて、我々は契約とかちゃんとしてるよ、って雰囲気が感じられたなぁ。

ここでストップ。

なーんか、嫌な予感がしました。
この嫌な予感の原因はなんだ?
クラウドソーシングの案件依頼スレッドを最初から読み返してみました。

この記事を読んでくださっている皆様、最初のキャンセルになった案件と、代わりに提示された案件、あらためてこの記事の上の方、見て確認してみてください。

わかります?

代わりにと提示していただいて、進めようとしていた案件、金額は先のものと同額だけど「1P」って書いてない。
タチ悪いですよね、わざと文章改行して1Pって部分を見落とさせるような文章にして、激安な金額は同じなのにワードプレスまるまる1本の制作依頼になってます。
さらに「先日の案件の代わりに〜」みたいな文言も添えて、最初の提示と同じだと誤解させようとしてる。Slackのグループに参加したあとも、とりあえずカンプデータだけ渡して、元気よく「お願いします!」って言うだけで、詳しい説明をいっさいしなかったのは意図的か。
その後、クラウドソーシングのサイトでの契約成立を促してくる、と。
(クラウドソーシング経由じゃなければ「統一契約書」の提出を求めるのかもしれないな、と勘ぐってます。)

こちらの勝手な邪推である可能性があります。
いや、むしろそうであって欲しいと思い、確認してみました。
「改めて確認なのですが、今回の案件、ワードプレスまるまる1本の制作を5,000円ということでしょうか?」
「金額間違いということはありませんか? この規模の制作だと、通常は●●万円くらいいただくことが多いのですが、金額再検討をお願いできないでしょうか?」
などなど、丁寧に質問させていただきましたが、相手からの返答は
「はい、その通りです!よろしくお願いします!」
「ぜひ、この条件でお願いします!」
と元気一杯のゼロ回等が返ってきました。

あー、なるほどね、そういうことですか、と。

誤解させたままとにかく「契約成立」させようって心づもりと判断し、これはお断りすることにしました。クラウドソーシング上で「お断り」の手続き。Slack のグループからは、案件グループに丁寧に挨拶文を残した後に、退出させていただきました。

結局、今回の依頼者、登場した「依頼者A」「依頼者B」については、顔も名前もわからずに終わりました。
Slackのハンドルネームはわかりましたけどね。あ、あと Slackのアカウントにgmailもあったけど、gmailはいくらでも作れるしね。


さて、ここから先は実際に踏み込んでいませんので、あくまで講師の感覚と経験から推察する「可能性」の話です。事実ではなく推察です、誤解しないでくださいね。可能性の提示だけです。

もしクラウドソーシングのwebサイト上で契約成立ボタンを押して手続きしたり、契約同意とか書類サインとかしちゃってたら、この後に考えられる可能性の中で最悪なものは以下の2つ。

  1. 案件として提示したのはワードプレス制作であって、1Pとは書いていません。それに契約同意したのあなたですよね?安いとか関係なく受注契約したのあなたですよね?納品まで責任持ってください。と迫って、無理な金額でワードプレスをまるまる1本作ることになる。
  2. 契約同意したにもかかわらず納期までにできませんでしたよね?あるいは途中で放棄しましたよね?契約不履行なので損害賠償請求します。と来る。

もちろんいろいろと意見交換しながら案件を進めて、無事納品、お金の件は度外視だけど実績もできたし良かったねって可能性もあります。
しかしながら、いくら初取引で技術レベルがわからなくとも「大人が集まって健全なビジネスを成立させよう」という前提で考えるとあり得ないことばかり。ダメよこれ。

作られていたカンプの内容は、都内一頭地にある株式会社のwebサイト。個人の趣味のレベルではありません。相当家賃高そうな立地にオフィスを構えている会社で、そもそもこの顧客から製作費出してもらってるだろうに、それに対してコーディングに5,000円しか支払わないとか考えられない。

あー、これは…という感じです。
勉強になりました。


今回の件であらためて感じたポイントが以下。

  • 基本的に激安案件はなんらかの理由がある。その理由はお互いに共有・理解・納得しないとダメなんだけど、今回は受ける側が理由を確認できていない。「初めての取引だし〜」みたいなのはこちらの勝手な思い込みでしかない。
  • ネット上だけの関係性で、相手の素性や連絡先が不明。顔もわからない。
  • Slackの制作グループメンバーは男女複数。みんなアイコン写真は顔見切れてるけど、爽やかそうな20〜30歳台のイケメン風、美女風が集まって、キラキラ感を出してる。
  • 自己紹介とかアイスブレイクとかは全く無しですぐに本題に入る。忙しそうなふりしつつ、契約関係をしっかりしてるような流れを作る。

ちなみに、仮に契約したあとでキャンセルをした場合でも、大した問題にはならないです。
最大で依頼費用の5,000円を払う可能性はありますが、「納品が遅れたことによる損害額●●万円」みたいな訴訟は無理です。損害の算出できませんから。(最初から「納期が遅れた場合は〇〇万円払う」という契約を結んでいたら話は別ですけど)
その辺は弁護士さんとも確認済みです。
ただ、そういった点がわからずに「損害額●●万円払え」って言われて払っちゃう人、駆け出しフリーランスとかには多いだろうな、これは引っかかるかもなと思いました。

それから、このやりとり、違法性が無いのがやっかいですね。常識的には考えられないくらい安いですけど「本人同士で契約同意した」ってことですからね。べつに脅してもいない、騙してもいない、暴力ふるってもいないですからね。

ここまで、生徒さんがこういったケースに陥らないように、講師が実際に体験してみた、というお話でした。
どうせなら受注契約手続きまでして最後までやってみればよかったかな、とも思いましたが、すみません、それほど暇じゃないものでして…。まぁまた機会があれば潜入捜査(?)じゃなくて、いろいろ体験してみて、生徒さんに共有していこうと思います。

最後にもう一度記しますが、全てのクラウドソーシング案件がこういった内容ではありませんし、むしろ健全なビジネスを成立させる一つのツールだと考えています。ただ、中には「健全なビジネス」ではない案件もあるわけで、これは一般社会でも同じですよね。そう言った意味でのレアケースの注意喚起です。

こういった内容も、一人で抱え込まないで相談し助け合えるグループを作っていこう、と、改めて思ったのでした。

※ 最後にお願い:こういった案件に巻き込まれてメンタル疲弊したり泣き寝入りしている人も多くいるかと思います。そういった方がこれ以上増えないように、もしよろしければSNSなどでシェアしていただけると嬉しいです。